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在宅介護のトラブルが増えていますが、その中でも大きな問題になっているのが認知症高齢者によるトラブルです。認知症の症状のひとつに「徘徊」がありますが、家族が目を離したすきに自宅を抜け出して徘徊し、事故に合うケースが増えています。
日本は1990年頃から急速に高齢化が進み、1997年以降は0歳~14歳の年少人口よりも65歳以上の老年人口の方が上回るようになりました。高齢化の進行スピードを他の国と比較してみると、日本は24年だったのに対しイギリスは46年、ドイツは40年、スウェーデンは85年、そしてフランスは126年と日本の2倍以上の時間がかかっています。このことから、いかに日本の高齢化が急速に進行しているのかが分かります。
このような背景を踏まえて、2000年には介護保険法が施行されました。介護保険法とは介護が必要な高齢者、つまり要介護者を社会全体で支えるために定められた法律です。要介護者を介護する家族の負担を軽減する新しい仕組みとして大きな期待が寄せられていました。
介護が社会化されたことにより、家族だけではなく社会も責任を負う形に変更になりましたが、在宅医療が推進されている今、退院後は自宅で家族が介護する「在宅介護」が中心となっています。在宅介護は介護をする家族の負担が大きく、さまざまなトラブルを引き起こしているとして社会問題となっています。
介護の負担については1999年と2011年に2度調査が行われており、それによると、1999年では「排泄の介助」と「入浴の介助」を負担に思っている人が多かったのですが、2011年の調査では「排泄の介助」と「入浴の介助」を負担に思っている人は減少していました。その反面、「食事の介助」や「介護協力者不足」などを負担に感じている人が増え、介護サービスを利用しても負担軽減にはつながらないことが露見したのです。
介護を行っている人のうち75.4%は介護を行うことで自分自身の健康にも影響があると感じています。事実、介護保険制度の導入以降も、うつ病などの精神疾患を患っている人が介護をしていない人よりも割合が多いことが報告されています。この結果から、在宅介護をしている人は毎日の介護に追われているため自分の健康を管理するのは難しいということが読み取れます。
また、近年は高齢者が高齢者を介護する「老老介護」も増えてきています。年齢による体力や筋力の低下はもちろん、何らかの健康問題を抱えている可能性もあるため十分な介護ができているとは言えません。今後は要介護者だけではなく、介護をする家族をサポートする体制も整えていかなければならないでしょう。