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在宅介護のトラブルが増えていますが、その中でも大きな問題になっているのが認知症高齢者によるトラブルです。認知症の症状のひとつに「徘徊」がありますが、家族が目を離したすきに自宅を抜け出して徘徊し、事故に合うケースが増えています。
高齢者の増加に伴い介護の重要性が声高に叫ばれていますが、それと同時に介護にまつわる悲惨なニュースも多く目にするようになりました。「自分は大丈夫」と思っている人も多いかもしれませんが、在宅介護は終わりが見えないため、本人も気付かないうちに精神的な疲労や身体的な疲労が溜まっているかもしれません。なかなかストレスを発散できない環境ではある日突然限界に達してやる気を失ってしまう可能性があります。「家族のため」と一生懸命頑張りすぎて共倒れになるケースが増えてきています。
認知症やその疑いがある人は年々増加しています。その中で行方不明になる人は年間で1万人以上と非常に多く、認知症で徘徊した末に列車にはねられてしまう事故が多発しています。2007年に愛知県で起きた列車事故では被害者は91歳の認知症の男性でしたが、介護をしている85歳の妻が目を離した数分の間に自宅を出て徘徊し、駅のホームから路線に入り込んで事故が起きてしまったのです。列車の運行を取り締まっているJR東海は家族に責任があるとして損害賠償を請求する裁判に発展し、1審では家族損害賠償を命じる判決が言い渡されましたが、外出をすべて抑えることは不可能だとして家族側が控訴したのです。2審では家族側の主張も採用されましたが、賠償額はゼロにはなりませんでした。
介護のストレスや負担などによって介護疲れを起こしている人も少なくありません。その結果、「介護うつ」や「高齢者虐待」といった社会問題が急増し問題となっています。
「介護うつ」とは介護に対する過剰な心配や悩み・責任感などを1人で抱え込んでしまい、うつ状態になってしまうことです。介護うつは在宅介護を行っている人が発症する傾向が多いようですが、これは、1人で誰にも頼らず、閉鎖的な環境の中で献身的に介護をしているからです。介護うつになると自分で自分を追い込んでしまうため、自殺や心中、介護殺人といった取り返しのつかない事件に発展してしまう可能性があります。
一方、「高齢者虐待」とは介護する人が高齢者を虐待してしまうことです。家族や親族、同居人による高齢者虐待の数は年々増え、平成29年には通報件数が3万件を超えました。その中で高齢者虐待と判断されたのは半数以上の1万7,000件以上で、大きな社会問題となっています。高齢者虐待を引き起こす理由はいくつかありますが、4人に1人は介護疲れや介護ストレスが原因で高齢者虐待に発展しているという結果があります。